第2回 表皮の5層第2回 表皮の5層

表皮は、10数層の細胞からできていますが、次のように大きく5つの層に区分することができます。

表皮の5層:角質層・透明層・顆粒層・有棘層・基底層

1.角質層

表皮の最上部(一番外側)で、薄い板状の死細胞(角質細胞)が重なって出来ている層です。外界のあらゆる刺激より内側の組織を保護しています。

古くなった角質は、アカやフケとなって落ちていきます。この働きが衰えると肌はなめらかさを失ってしまいます。

水分を吸収する性質が強く、この層が適度な水分(約20%)を含んでいると、皮膚はしっとりみずみずしくなるのです。

2.透明層

手のひらや足の裏など、厚い角質層を持つところだけに存在する層です。

3.顆粒層

紡錘形をした1〜2層の細胞より形成されています。酸やアルカリから内部を守ります。

4.有棘層

表皮の大部分を占める層で、細胞と細胞の間は橋のように見える棘によって結ばれ(細胞間橋)、細胞同志の栄養の交換を行なっています。

5.基底層

表皮の最下層で、1層の細胞が波状に並んで真皮と接しています。

1つ1つの細胞が、細胞分裂を行ない、新しい表皮細胞を作り出しています。

基底層の細胞に点在するメラノサイトという細胞(上図の基底層の茶色い部分)は、メラニン色素を作り周囲の表皮細胞に注入します。それによって、色素沈着(シミ・ソバカス・日焼け等)が起こるのです。

角化と角解について

基底層では、細胞分裂によって新しい表皮細胞が常に作り出されています。  この細胞は、基底細胞→有棘細胞→顆粒細胞(→透明細胞)→角質細胞と、形や働きを変えながら、皮膚表面に上がってきます。この細胞の変化のことを“角化”といいます。

角質層にまで押し上げられた細胞は、やがて皮膚表面からアカやフケとなってはがれ落ちます。このことを“角解”といいます。

基底層で細胞が誕生し、押し上げられて角質層にたどり着くまでに要する期間は、14日間(角化に要する時間)、また押し上げられた細胞の角質層での滞在期間(角解に要する時間)が14日間と言われています。

皮膚の新陳代謝について

角化、角解によって新しい細胞が誕生する一方で、古い細胞が死んで皮膚が新しく替わっていくことを“皮膚の新陳代謝”といいます。

新陳代謝によって皮膚が新しくなることを“皮膚の再生”といい、再生に要する時間、つまり基底層で生まれてから表皮からはがれ落ちるまでを“皮膚の再生サイクル”といいます。

新陳代謝のおかげで皮膚は新鮮さを保っているため、新陳代謝が正常に行なわれることが、美しい肌を保つ重要な条件の一つなのです。